任意労災とは
この記事でわかること
・政府労災・任意労災との違いとは?
・政府労災・任意労災の手続き・概要について
任意労災保険とは保険の正式名称を指すものではなく、
民間の保険会社が販売している労災事故を補償する保険を
「任意労災」と総称して呼ばれています。
・法定外労災保険 ・使用者賠償責任保険 ・傷害保険 ・業務災害補償保険 |
を使用している商品が一般的になります。
従業員を1名でも使用したら強制加入である政府労災に対し、
加入は任意であることから、任意労災と呼ばれています。
種類の詳細は、任意労災の種類
を参照してください。
また任意労災と政府労災と混同される方がいらっしゃいますが、
正式に労災保険と認められるものは、運営母体が政府である
政府労災のみになりますので、注意が必要です。
政府労災に加入するには、労働基準局や労働事務組合・特別
加入組合等の団体窓口に連絡する必要があります。
現場で「労災保険」と呼ばれるものは2つある。
保険を吟味するにあたって、元請け会社に
「加入するのは政府労災ですか?民間の任意労災ですか?」
と確認をして下さい。
1つめは正式な「政府労災」
一人親方、法人役員の場合、特別加入制度を利用する形になります。
どちらも組合費を支払い、「組合」に加入し、組合で手続きをしなくて
はなりません。
※従業員等、使用人を対象とする場合、管轄の労働基準監督署で
手続きを行って下さい。
どちらも政府が運営母体となる制度ですので、加入窓口により
保険料などが異なることはありません。
ただし、組合に支払う組合費が異なりますので、吟味が必要になります。
・ 一人親方の場合、加入窓口は建設業組合が代表的ですが、近年は
特別加入だけに特化し、割安な組合費に設定している組合もあります。
・ 法人役員の場合は「中小事業主の特別加入」として加入する必要があります。
中小事業主の特別加入は、労働保険事務組合で手続きを行います。
労働保険事務組合に直接、あるいは社労士を通じて事務組合で加入という流れに
なります。
事務組合はネットで探していただく、
http://www.rouhoren.or.jp/
もしくは管轄の労働基準監督署に問い合わせをすれば紹介してくれます。
また、煩雑な手続きを省略したい場合、社会保険労務士などに
報酬を支払ったうえで、手続きを代行してもらう事も可能です。
2つめは民間の保険会社が運営している「任意労災・上乗せ労災」
こちらは弊社でご案内が可能です。
※近年はコンプライアンスが年々厳しくなっており、
1つ目の「政府労災」を求められることも増えています。
元請け会社が「政府労災」を求めている場合、任意労災では
認められませんので、確認をよろしくお願いいたします。
一人親方特別加入であれば、組合をご紹介いたします。
任意労災の目的
1・政府労災の上乗せ補償※政府労災は自動車保険でいう自賠責保険に当たりますが、
補償額は平均賃金がベースとなりますので、
使用者の平均賃金が高くない場合、いざという時の
補償額が低くなります。
また、休業補償は給付基礎日額×60%となりますので
安心して療養できる水準にならないことが発生します。
十分な補償を確保するための上乗せ利用。
2・慰謝料・使用者賠償責任のカバー
政府労災には慰謝料の概念がありません。
また、事故発生原因として、雇用側の安全配慮義務違反を
問われた場合、使用者としての賠償責任を問われることがあります。
政府労災保険は、療養給付などが受けられ、労働者にとっても安心な存在では
あるのですが、事業主にとっては「慰謝料が発生した場合」「見舞金を負担する
必要が出た場合」には、政府労災でカバーすることができません。
また、最近は労災事故に起因する訴訟も起こっており、雇用主の損害賠償責任が
問われることになると、その賠償金は非常に多額になることもあります。
それぞれの会社によって目的は異なりますが、福利厚生・企業防衛など
さまざまな側面を持っています。
任意労災の加入義務について
昨今、コンプライアンスの高まりから、作業現場に入るのに、任意労災・特別加入などの証券提出が義務付けられることが増えています。
具体的な条件が提示されないことも多いですが、
具体的に
・休業補償がされること。 ・労災事故の際、治療費の補償がされること。 ・死亡補償が○○万円以上であること。 ・死亡および労災保険の障害等級1級から7級までを補償の対象 とすること。 ・業務上災害のほか、通勤災害についても補償の対象とすること。 ・雇用関係にある従業員のほか、全下請負人を含むことが契約上 明らかであること。 |
条件を満たしていない場合、せっかく保険に加入しても認められないことも
ありますので、取引先に証券提出を要求されている場合は、具体的に条件が
出ていないか、確認することが肝要です。
任意労災の契約方式
契約方式には一般的に・記名式 ・無記名式(人数で設定)全員付保・一部付保 ・無記名式(売上高・請負金額で設定) |
・記名式は、一人一人、対象者の名前を登録して、その方の
怪我を補償する方式です。
・無記名式(人数方式 全員付保)
無記名式の場合、名前の登録は不要なので、
自分の会社のスタッフであれば、下請け業者を含め
無記名で補償されます。
全員付保は、稼働スタッフの全員の人数を
設定して契約する方式です。
・無記名式(人数方式 一部付保)
一部付保は稼働スタッフの内で、一日に稼働する
最大人数で設定する方式です。
たとえば、30人スタッフがいるが、一日に稼働するのは
最大10名しかいない、というような場合、全員付保
よりも、一部付保のほうが保険料が安く済みます。
また、売上高が比較的コンパクトだが、現場によっては
多くのスタッフが稼働する日があるなどの場合、売上高
方式を選択することが有利になるケースが多いです。
昨今の任意労災では、無事故の期間により保険料が
割引となるものも発売されていますので、会社にとって
どの商品・契約方式がベストなのか、無理・無駄のないような
商品・契約方式を選んでいくことが肝要です。